こんにちは、元小学校教員・現役学童保育指導員のススメちゃんです。
子どもが小学校に入学した途端に、これまでうまくいっていた育児と仕事の両立が難しくなることを「小一の壁」と呼びます。
「小一プロブレム」という似た言葉がありますが、こちらは子どもたちが抱える問題です。今回は保護者が抱える「小一の壁」について、その実態や原因、解決方法を紹介していきます。
小一の壁の実態とは?
子どもは成長するにつれて、ひとりでできることが増えていきますよね。毎朝の歯磨きや着替え・トイレなど、パパママの手を借りずに自分自身でできるようになっていきます。
それなのに小学校に入学した途端、どうして親が今まで以上に仕事と子育てとの両立が難しくなるのでしょうか?まずはこれまで実際に私が聞いてきた、リアルな声を紹介します。
ケース1 学童の開設時間は短い
保育園は19時まで預かってもらえたけど、学童は18時なんですか!?
ケース2 家で宿題を見る余裕がない
仕事で帰りが遅いので、家で宿題見る時間がありません。
保育園ではなかった宿題が、小学校に入ると1年生から当たり前のように出されます。1人でやってくれれば良いですが、音読や計算カードは毎日聞いてサインをしなければなりません。
学校によっては保護者が宿題の丸つけをするところも…。
ケース3 長期休みのお弁当問題
夏休みって毎日お弁当なんですか!?
小一の壁の原因とは?
- 保育所より学童保育の方が、開設時間が短い
- 子どもの宿題を家で見る時間が必要
- 長期休暇(夏休み・冬休み・春休み)にはお弁当を作らなければいけない
この他にもたくさん挙げられている、小一の壁の原因をみていきましょう。
会社の時短勤務制度が小学校入学前までしか使えない
子育てを経験したことがない人からは、「小学校に入ると親の手がかからなくなる」と思われていることが多いです。
そのため、子どもが小学校に入学すると時短勤務制度が利用できず、フルタイム勤務に戻さなければいけない会社が多いようです。
平日に仕事を休まなければならない機会が増える
保育園では保護者が働いていることが前提で行事や懇談会が開催されています。
そのため、行事は土日、懇談会や保護者会は夜に行われることがほとんど。その点、小学校では平日の昼間に参観日や懇談会が設定され、働いている人は有給休暇を使わなければなりません。
女性の社会進出が進んでいるとはいえ、PTAの集まりも平日の昼間が多いです。
毎年冬には急な学級閉鎖に対応しなければいけない
コロナ禍で保育園も休園になることが増えましたが、今後コロナが現在の「二類相当」から「五類」に引き下げられたとしても、小学校では毎年のようにインフルエンザなどの感染症によって学級閉鎖があります。
急に「明日から3日間学校をお休みしてください」とだけ連絡がきて、その間学童保育の利用もできない自治体がほとんど。
学校の先生とのコミュニケーションが取りづらい
毎日のお迎えがない小学校は、担任の先生との距離もかなり遠く感じるでしょう。
近年、教員の働き方改革により、17時以降は学校に電話をかけても繋がらない仕組みが採用されていることが多いです。
仕事が終わってから、子どもに「今日〇〇くんに殴られた」「ケンカをして〇〇さんにケガをさせた」など、びっくりするような報告をされても、担任の先生に確認できない…なんてことも。
学童の待機児童問題
2016年には、新語・流行語大賞のトップテンに「保育園落ちた、日本死ね」が入るなど、保育所の待機児問題が大きな社会問題になりました。
当時に比べると、少子化が進んでいることもありますが、受け皿が拡充されていき保育園の待機児は減少傾向にあります。
その影に埋もれているのが、学童保育の待機児問題です。働く親が増えていることで、少子化の現代でも学童を利用している児童は急増しており、1年生でも待機児童になっている自治体もあります。
学童の指導員はパートタイムが多いので、保育士に比べてなり手も少なく、指導員不足が待機児問題に直結しています。
小一の壁の対策
小一の壁を意識した自立を促す
1年生になったからといって急激に成長するわけではありませんが、ある程度は我が子を信頼して任せてみるのも一つの手です。
「まずは買い物中の30分だけ留守番の練習をさせてみた」「もしもの時のために、ランドセルに鍵だけは入れている」「おにぎりだけは自分で握らせる」などなど。
我が子の発達段階に応じて少しずつ自立を促してあげましょう。
かといって、全てを子ども任せにするのはNG。一緒にできることを考え、成長を感じた時には一緒に喜ぶ。「周りがやっているから〜」ではなく、きちんと我が子をみて、ママ自身が安心して任せられることから始めてみるのが良いでしょう。
民間サービスを利用する
民間学童は公立よりも預かってもらえる時間が長いです。
その分料金も高いのがネックですが、子どもの安全を考えると決して高すぎる値段ではありません。余裕のあるご家庭は、「低学年の間だけ…」と割り切って民間学童を利用するのが良いでしょう。
シッターさんやファミリーサポートを利用する方が安くすむ場合もあるので、一度お住まいの自治体の情報を調べてみてください。
ママ友間で助け合う
勇気を出してママ友に相談してみるのも良いでしょう。働き方によって、朝に余裕のある人、夕方は早く帰れる人、平日に休みがある人などさまざま。
みなさんが思っているより、小一の壁にぶつかっているママさんは多いです。
同じ悩みを共有し、できる範囲で助け合える仲間がいると心強いですよね。
学校でトラブルが起こった際も、保護者同士が繋がっていると解決もスムーズです。
保育園での繋がりがない人は、まずは学校・学童の懇談会に参加してみることで顔見知りのママが増えていきますよ。
私の勤務している学童では、長期休みのお弁当を曜日制にして交互に作っているママ友グループがあります。(そこまで助け合えるのは珍しいケースですが…)仕事で急遽遅くなる時はお迎えをお願いし合ったり、毎朝30分だけ見てもらってそのまま一緒に登校させたり…形はさまざまですが、みんな助け合っています。
宿題は学童で
音読や計算カードぐらいであれば、学童で見てもらえることが多いです。子どもと一緒に毎日の生活を考えていく中で「宿題は学童で終わらせてくる」という約束を作ってみるのも良いでしょう。
中には「ママに聞いてほしい」と思っている子もいます。
その場合は、一つでも良いのでお家で見てあげる・聞いてあげる時間を取ってあげてください。「ひらがなだけはママとやろうね」「毎日の音読は聞かせてほしいな」など、こちらから声をかけてあげると子どもの勉強に対するモチベーションも上がりますよ。
祖父母を頼る
ママ友よりも気を遣わずに頼れる祖父母。近くに住んでいたら、思い切って頼ってみましょう。
祖父母である前に、子育ての大先輩です。遠慮せずに頼ってみることで、大きな支えになってくれるはず。
かわいい孫の成長に関わることができるのは、おじいちゃん・おばあちゃんもきっと嬉しいと思います。
まとめ
今回この記事を執筆するにあたって調べていると、どのサイトでも「自身の働き方を変える」「思い切って転職をする」といった解決方法が提示されていました。それを見たとき、私は「それって解決になってないのでは…」と思いました。
もちろん転職することで、うまくいっているご家庭もたくさん見てきたので否定はしません。
ただ、本当の意味で育児と仕事の両立を考えていくのであれば、周囲の協力は必要不可欠。ママ友や祖父母、学校の先生や学童の指導員、時には我が子に頼ることもあるでしょう。
「親だから…」といって自分を犠牲にしつづけていたらしんどいですよね。
困ったときは、ひとまず相談しやすい人に話をしてみましょう。この記事で、悩めるママたちが少しでも前向きに小一の壁が捉えられるようになれば嬉しいです。
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